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HOME > 薬事日報2016年1月27日号 鼎談 医薬品卸の役割と課題 GE薬や頻回改定へ対応


薬事日報2016年1月27日号
医療支える使命感持って邁進 鼎談 衣料品卸の役割と課題 GE薬や頻回改定へ対応


出席者
衆議院議員 豊田真由子氏
日本薬業政治連盟会長(アルフレッサ社長)鹿目広之氏
日本薬業政治連盟名誉会長(メディパルホールディングス会長)熊倉貞武氏


日本薬業政治連盟は、日本医薬品卸売業連合会の目的達成のため、政治的側面から支援する組織として1972年に設立され、以後、44年にわたって卸の存在意義、社会的インフラとしての役割の周知、業界の政党な主張を訴える活動などを積極的に展開してきた。

2012年に代議士となった豊田真由子衆議院議員は、厚労官僚時代に医療、介護、高齢者・障害者福祉、感染症・生活習慣病対策などに携わった厚労行政のエキスパートであると共に、米国留学、ジュネーブで外交官としてWHOを担当した経歴を持つ国際派でもある。

今回、豊田氏と、日本薬業政治連盟の熊倉貞武名誉会長、鹿目広之会長の3人で鼎談を行ってもらい、医薬品卸に大きく影響する流通改革や頻回改定問題などの重要課題について語っていただいた。

医薬品供給が医療の前提 新興感染症の対応も経験

豊田 私は、人のため、国のために役に立つ仕事に携わりたいと、小さい頃から漠然と思っていました。大学時代には障がい児や自閉症の子供たちの通うデイサービスや、虐待や離婚・経済的理由など様々事情を抱えた子供たちが暮らす児童養護施設でのボランティアを経験しました。日本全国の同じような境遇にある多くの子供たちを救うには、やはり国の政策をきちんと作っていくことが必要であり、そして人々の安心や希望のためには、医療・介護・福祉などの社会保障の充実が大切であると考え、厚生省(当時)に1997年に入りました。

2007年からは、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部一等書記官としてWHO(世界保健機関)を担当していました。当時、アジアではH5N1などの鳥インフルエンザが問題になっていましたが、09年にメキシコで道の豚由来の新型インフルエンザによる流行が発生しました。当初はウイルスの毒性と伝播力が分からなかったこともあり、日本国内、世界中で大きな混乱を引き起こしたことは、皆様のご記憶にあるとおりです。感染の広がりを示すWHOの評価である「フェーズ」は、最も上位の「レベル6」まで引き上げられました。携帯電話を3台支給され、時差の関係もあって、ジュネーブ、日本、欧米の国々と引っきりなしにやり取りをしていました。ちょうど妊娠5カ月の頃でしたが、世界の危機を救わねばという、必死の思いでした。

世界には、保健システムが脆弱な国がまだまだたくさんあります。ウイルスや感染源の特定・治療・感染防止対策などの基本的な対応ができず、被害が広がります。そもそもどこに誰が住んでいて、いつどんな病気にかかり、何名が死亡したかといったことも、充分に把握できない地域もあります。世界が結束して新興感染症に対応することが非常に重要であるということを教訓として学びました。

日本では、新型インフルエンザパンデミックの時も、東日本大震災の時もそうでしたが、医薬品卸の皆さんがコストをかけて非常時対応の準備を万全に整えて活躍されました。その一方で卸の皆様の努力や役割が世の中で正しく評価されていないと感じたできごとでもありました。

熊倉 パンデミックの当時、防護服を用意しましたが、防護服を着用して病院に行くと患者さんが恐ろしがるので、現実的には着ていくことはできませんでした。

豊田 動脈・静脈物流と言われておりますように、医薬品が届かなければ医療従事者は充分な治療ができません。国民の生命と安全を守るためには、卸の方がいかに安全、正確に医薬品を届けられるかを考えて、より一層のサポートが必要であると思います。

熊倉 ですから、正しくジャッジしてもらいたいと思います。当時、ワクチンの優先接種対象から卸は除外されていました。

鹿目 私も豊田先生に幾度もお願いしました。誰が薬を運ぶのか冷静に考えれば、卸に一番最初にワクチンを接種しなければならないことは明白です。

高い技術と機能を発揮 非常時は一体で乗り切る

豊田 医薬品を宅配便等で届ければいいという意見もありますが、医薬品は命を救うものであり、温度などの品質管理も厳格でなければいけませんし、メーカーからの多種多様で膨大な商品を小分けして緻密に管理し、安全・安心、正確に流通を行っています。当然、知識を持って情報も一緒に届けていますし、何か問題が発生すれば静脈物流で即座に回収もしています。正しい医薬品卸の姿、役割をもっと広く知っていただく必要があると思います。

熊倉 静脈物流の頻度はどれくらいかというと、添付文書も含め週に1回は回収が発生しています。すぐ回収するには、ロットなどの情報を持っていないとできません。物流には大きく2種類あり、宅配業者が行っている荷主から頼まれた荷姿のまま届ける物流と、われわれ医薬品卸がやっている届いたものを小分けしてそれぞれの情報と共に届けるという、非常に高い技術が必要な難しい物流です。

豊田 高い知識と技術が必要ですね。

熊倉 新たな特区ではドローンで医療用医薬品を届ける試みなども行われるようですが、医薬品卸は既に毛細血管型物流を実現しています。

豊田 医薬品の毛細血管型物流体制を整備、維持していくことがどれほど大変なことなのか、先ほどの防護服の件もそうですが、震災やパンデミックの対応に、見えないところで常日頃からコストをかけて準備しているという全体像を正しく理解しなければ、国民の命や安全は守られないと思います。

熊倉 防護服の期限が切れて廃棄するため数億円もの減損を計上しました。社会的使命を全うするためとはいえ、これはなかなか厳しいです。

豊田 通常の時も非常時も卸さんは単なる物流だけでなく、適切な安定供給をコントロール役割も担っていますね。被災地に医薬品は必要ですが、被災地以外でも必要ですので、きめ細やかな対応をされました。

熊倉 コントロールについて、東京の卸はよく対応したと思っています。東北から離れた関東の病院などが、不安感にかられて必要以上に求めてくるのですが、それを過去の実績を参考にして適切な量を供給しました。卸以外でこの対応はできません。  また、小田島さん(岩手県花巻市)のセンターに普段はライバル同士の卸が医薬品等を持ち寄り、皆で手分けして配送しました。これはそれまでの感覚ではありえません。非常時には一体となって困難を乗り切る医薬品卸はたいしたものだと思いました。

豊田 何があっても医薬品を届けて命を守る、被災者を助けるのだという使命感によるのでしょう。医薬品卸は仕事自体が社会貢献の役割を担っているともいえると思います。私は、日本が世界に誇る仕組みだと思います。

熊倉 日本の医薬品卸売業は8兆円市場の産業ですが、不思議なことに他産業や海外からの進出がありません。非常に珍しいことです。あまり儲からないからですかね(笑)。仕事自体が難しいこともあります。何といってもユーザーが16万軒もあるわけですから。アメリカでも7万軒、ドイツは4万軒です。異常に数が多く個々の規模が小さいから商売としては難しいのです。

豊田 これからも卸さんの手間は増える一方ですね。

(※参考:日本医薬品卸売業連合会・国際委員会報告書「自然災害圧政時の医薬品供給における課題と対応の国際比較」 2015年11月刊行)

80%時代へ体制を整える 新バーコードの加速化を

鹿目 ジェネリック医薬品の対応も大変です。「経済財政運営と改革の基本方針2015」において、「後発医薬品の数量シェアを平成29年(2017年)中ほどまでに70%、32年度末(2020年度末)までのなるべく早い時期に80%以上」という新たな目標が設定されました。いわゆる「2080」です。

 後発品シェアが80%になると、医療用医薬品全体に占める後発品のウエイトは50%を超えると推察されます。現在でも卸の倉庫は多品目の後発品であふれかえっており、売上の10%程度の後発品が、卸倉庫の中では半数を占めているのが現状であり、管理コストが上昇しているのが実態です。

 われわれは、後発品に求められていることでは安定供給と品質が最も重要であると考えます。ところが一部では後発品の価格競争が発生したり、安定供給に不安を残すなど、問題点も散見されます。現在の薬価収載のルールでは共同開発が認められており、同じ製品が名前を変えて多数薬価収載されており、これが品目数の増加と価格競合につながっています。決して価格競争を否定するものではありませんが、極端な価格提示をする製品に安定供給が担保されているのか、大いに不安が残るところです。

 このような共同開発のルールや、非汎用品におけるメーカー間の規格の補完など、薬価収載のルールを改め、同じ薬剤が大量に上市される事態を改善しつつ、安定供給と流通コスト削減の視点を強化してほしいと思います。

 われわれ医薬品卸売業は後発品のさらなる拡大に備え、一層のローコスト化と効率化に取り組んで流通のムダを排除し、後発品80%時代の効率的かつ効果的な流通体制を整えなければなりません。当然のこととして、いかなる状況でも安心安全の医薬品流通を担保することが、絶対的な基本条件であることは言うまでもありません。

 諸外国を見ても後発品の重要性は増しており、われわれも後発品の安定供給に全力で取り組む考えです。

豊田 一つの先発品に非常に多くの後発品が出ていますね。

熊倉 20や30出されても、医薬品は縦に積めません。横にしか保管できないので、広大なセンターが必要になります。

豊田 事業の自由はありますが、そこはもう少し適正化について考える必要があるかもしれませんね。

熊倉 新バーコードを義務化すれば、ある程度のジェネリック薬メーカーでないと対応できませんので、かなり事情は異なってくると思います。

鹿目 変動情報(有効期限や製造番号など)を含む新バーコードの問題は、卸の流通の効率化にとって避けては通れない問題です。先ほども述べましたが、後発品の数量シェア80%時代の到来により、このままでは流通効率は低下します。卸も必死のコストダウンを図っているところですが、やはり情報の電子化によるコスト削減は必須の要件です。また患者さんにとっても、トレーサビリティ確保の観点から、新バーコードによる情報化は大変重要なものとなっています。

 ところが変動情報を含む新バーコード表示は遅々として進んでいません。ましてや、一部の後発品では新バーコード表示すらも遅れており、後発品がますます拡大するだけに危機感を抱いております。

 これに対して、流通量の多い商品を優先することや、新製品からの取り組みなどの案を提示して各団体に働きかけているところです。

 この問題は卸だけではなく、すべての製薬企業や医療機関、患者さんのためでもあります。最終的にはすべての医療用医薬品に対して変動情報を含む新バーコードの必須化を要望しているところです。流通の効率化と患者さんの安全確保のため、流通当事者が共通の認識を持って、スピードを上げて取り組むことを切望しております。

豊田 新バーコードでは各情報が瞬時に分かるのですか。

熊倉 そうです。現在は生物由来製品で義務化されていますが、全体の数%しかありません。

豊田 義務化の線引きをどこまでするかという問題はあると思いますが、人の命にかかわる医薬品のトレーサビリティは大変重要であると思います。一般の食品などに比べても、遅れていると言わざるを得ません。

毎年改定の反対を訴える 単品単価取引の徹底図る

鹿目 われわれの大きな課題の一つが、消費税も絡む頻回改定問題です。

 平成26年の消費税8%への対応は大変スムーズに移行でき、一部で出た医薬品の損税問題も誤解が解けたと考えます。一方で、このときに準備した表示カルテルについては定着が進まず、10%増税時の価格交渉に向けて改めて徹底を図っているところです。医薬品の価値に見合う価格交渉を行うには、薬価と納入価を税抜きで表示して、取引の透明性と消費税の明確化を図るのが目的であり、この趣旨を徹底しつつ、お得意様にも丁寧な説明を行って、浸透を図ってまいりたいと思っております。

 消費増税時に薬価調査を実施して、増税分の改定と、通常の市場実勢価に基づく引き下げを同時に行うような動きもあります。しかし、公的医療保険制度の中で、公定価格である診療報酬と薬価は、包括医療費支払い制度(DPC)の普及などを考えると不可分の関係にあり、同時に行う必要があると考えます。単に財源論だけで薬価を引き下げ、医療体制のメカニズムを棄損すべきではありません。消費増税時の薬価調査に基づく薬価引き下げには絶対に反対です。

 万一、平成29年が薬価調査を伴う改定の場合は、平成28年から3年連続改定という大問題が発生します。この回避に向けて、卸連や薬政連の組織を挙げて全力で取り組んでいるところです。これを前例として、毎年改定への道を開こうという思惑も見え隠れしますが、消費税における改定と毎年改定では意味合いが全く異なります。

 先ほども述べましたが、薬価改定と診療報酬改定は同時に実施すべきことであり、財政的な理由で薬価のみを毎年引き下げることは、医療全般のバランスを崩しかねません。

 また卸にとっては、薬価改定の作業と新たな価格交渉に膨大な時間を費やすため、これが毎年となれば、卸の本分である医薬品の安心安全な流通機能を棄損するおそれがあり、医薬品流通の安定を損なうばかりでなく、医薬品供給体制に重大な悪影響を与えることになります。このようなことは絶対にあってはならないと思っており、卸連でもメッセージを発信、厚労大臣に要望書を提出し、また薬政連では、諸先生方に趣旨を説明してご理解を得るなどの様々な活動を行っているところです。薬価の毎年改定反対は、引き続き強く訴えていくつもりです。

豊田 消費税を含めると16、17、18年と3年連続の改定になってしまいますね。改定のための調査作業にどれだけのコストと手間がかかるのか、正確な把握ができるのか、といった課題について、慎重な検討が必要です。

鹿目 毎年改定で、本当に正しい市場実勢価格が把握できるのかが大きな課題です。単品単価でしっかりと交渉して、価格を決めなければなりません。

 未妥結減算制度はその導入により長期の未妥結状態が改善され、高い妥結率を示すことができました。しかしその一方で、減算回避のために、いわば2年分の価格を提示するなどして利益低下にも見舞われたことは大きな問題でした。この制度は卸にとっての労力も多大であり、また未妥結回避のための部分妥結や単品総価での交渉など、本来の趣旨にそぐわない動きも見られました。

 薬価基準制度を維持するためには、まずは単品単価交渉の推進と定着が最も重要な課題であり、これがイノベーションに対する価値の担保につながると考えております。やみくもに早く価格を決めることばかりが先行し過ぎると、新薬の価値を損なうケースも危惧されます。われわれとしては、まずは単品単価交渉をしっかりと行いつつ、この中で長期未妥結にならないような商慣行を定着させていくことが最も重要だと考えます。

 平成27年は、われわれの主張を取り入れていただき、資料の簡便化も実現しましたが、まだまだ負担感は大きく、対象先の範囲などにも問題が残ります。未妥結減算制度はその妥結率だけでなく、単品単価取引の各度合も含めて評価すべきと考えます。われわれは、まずは流通改革の推進を最重点と捉える中で、未妥結減算制度のあるべき姿を慎重に議論してまいりたいと思います。

熊倉 2019年以降に毎年改定となれば、卸は調査を拒否せざるを得なくなります。そのためにも、今から絶対に反対であるという意思表示を強く発信し続けていく必要があります。拒否しますよという姿勢をずっと続け、その時が来た実際に拒否するという仕掛けをしていかなければならないと思います。

豊田 薬価調査は、卸さんの善意と努力で成り立っているということですね。わたくしたち政策に携わる者は、現場の意見や思い、実情を政策にきちんと反省させていくと共に、財政健全化等の国家課題に適切に対応していく観点も必要です。

世界に冠たる日本の医療 本能で社会的使命備える

豊田 グローバルヘルスにおける日本の役割は、非常に大きいと思います。世界の危機に積極的に対処する、途上国を支援するということは、国際社会の一員として、当然に果たすべき責務であります。そして、航空網の発達した現代社会においては、ウイルスは国境を越えて容易に伝播しますから、日本国民を守るためには、国内の危機管理体制や保健システムの強化だけではなく、海外の感染地域に様々な実効的な支援を行うことによって、感染を拡大させないことが不可欠です。グローバルヘルスに貢献すると同時に、外交において発言力・イニシアチブを発揮し、また自国産業の振興にも結びつける欧米の力量を、わが国も発揮できるようになる必要があります。特にグローバルヘルスにおいて、自国の幸せのためには世界の皆が幸せにならなければいけない、ということであります。

 日本の医療制度、国民皆保険制度は、誰でも必要なときに必要な医療サービスを受けられ、他の先進諸国と比較しても相対的にかなり低い負担で、これだけの高いレベルの医療を受けることができるという世界に冠たる仕組みです。無保険者が人口の15%(12年)もいる米国、医療機関にかかるのに時間を要するヨーロッパなどと比較しても、WHOが世界一と認定した日本の医療制度の良さを、国民の皆様に認識していただき、その上で様々な制度設計と改革を考えていく必要があると思います。

鹿目 先生は海外から日本を見てきたから、いろいろなことがよく分かるのでしょうね。

豊田 そうですね。客観的に見れば日本の良さがよく分かります。卸さんによる医薬品流通は、人の体と同じで毛細血管、大動脈、大静脈のように大事な部分を見えないところで支えていらっしゃる。

 きょう、お二方とお話しさせていただき、医薬品卸さんはいろいろな面で厳しい状況に晒されていますが、国民の生命と安全・安心という大事なところをしっかり支えていると改めて認識しました。

 法律、制度が変わっていく状況の中で、根本のところで卸の皆様が何のためにどのような仕事をしているか、国民の生命と安全を守るために、私たち政策に携わる者は忘れてはいけないし、考えなければいけないと思います。

熊倉 自分で言うのも何ですが、われわれは本能的に社会的使命というものを持っています。これは自然に醸成され、刻みこまれたものだと思います。

豊田 卸さんも含めて医療に携わる方々は、診療報酬やコスト・労力に関係なく、いま目の前にいる人を助けるために、本能的に全力を尽くされます。私は、これに勝る崇高な信念はないと考えます。これは社員さんたちの誇りや、やりがいにつながっていると思います。このようなことを、国民の皆様にしっかりと知っていただけるよう、そして卸の皆さまのがんばりで多くの方が救われ、笑顔が広がっていきますよう、これからもご一緒にがんばってまいります。